Q&A

テレワーク導入
  • 育児介護法改正の概要を教えていただきたい
    • 令和7年の育児介護休業法の改正は、以下の3つに主眼を置いています。
      ① 子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充
      ② 育児休業の取得状況の公表義務の拡大や次世代育成支援対策の推進・強化
      ③ 介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等
    • テレワークに関係する具体的な改正点は、以下のとおりです。

    1.子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充

    • 事業者は、3歳以上の小学校就学前の子を養育する労働者に関し、柔軟な働き方を実現するため、以下の5つのうち2つ以上を制度化し措置する義務があり、労働者はその中から1つ選択することができます。
      〇始業時刻等の変更
      〇テレワーク等(10日/月)
      〇保育施設の設置運営等
      〇新たな休暇の付与(10日/年)
      〇短時間勤務制度
    • 措置の際、過半数組合等からの意見聴取の機会を設ける必要があります。また、3歳に満たない子を養育する労働者がテレワークを選択できるように措置を講ずることが、事業主に努力義務化されます。

    2.介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等

    • 介護期の働き方については、労働者がテレワークを選択できるよう事業主に努力義務が課せられます。
    • また、制度利用の対象者に対して、制度を周知し、利用するかどうかの意向を確認するだけでなく、それぞれの家庭の状況に応じて配慮できるよう、希望する就業時間や場所等について意向を確認することが求められています。

      (参考)厚生労働省 育児・介護休業法について
      https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html
  • 育児介護休業法の改正に向けて、テレワーク等(10日/月)を制度化するには、どのような準備が必要か?
    • テレワーク(10日/月)を制度化する場合、社員が実際にテレワークを実施できるようにするためには、以下の準備が必要です。

      〇業務の棚卸を通じたテレワーク可能な業務の区分け
      〇必要な情報通信ネットワーク環境の整備や業務用ツールの導入
      〇テレワークにおける労働時間の管理方法の確立
      〇費用の負担方法の確定
      〇緊急時の対応方法などに関するルールづくり(規定化)

      (参考)厚生労働省 育児・介護休業法について
      https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html
  • 育児介護法で要請される対象者への説明・意向確認は社内の誰が、どう行うのですか?
    • 対象者への説明・意向確認は、事業主もしくは事業主から指示を受けた上長、所属長等が行うことが想定されます。手引き等の詳細については、まだ公開されていませんが、今後、厚労省HPに詳細が掲載される予定です。

      (参考)厚生労働省 育児・介護休業法について
      https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html
  • 育児介護休業法の改正を機にテレワークを定着させたい。利用できる行政サービス(助成金等)は?
    • 東京都では、テレワークの普及・促進のため、多くの施策を行っています。
    • 負担を軽減する助成金や導入方法の相談を行えるサービスを下記にご紹介します。

      (参考)東京都テレワークポータルサイト ※テレワークに関する様々な情報を掲載
      https://portal-tokyo-tele.metro.tokyo.lg.jp/ (参考)東京テレワーク推進センター
      https://tokyo-telework.metro.tokyo.lg.jp/
労務管理
  • 本人の希望で午前は出社、午後はテレワークをする場合に、移動時間は労働になるのでしょうか。
    • 基本的には、移動時間が指揮命令下にあるかどうかで判断します。指揮命令下にあれば勤務扱い、そうでなければ勤務ではありません。
    • 例えば、本人の都合で出社からテレワークに切り替えた場合の移動時間は休憩時間とし、会社からの急な呼び出しで急遽駆け付ける場合の移動時間は勤務時間とする等、いろいろな考え方ができます。
    • 最終的にはケースバイケースでの判断となりますので、労使での話合いをもとに整理しておくとよいでしょう。
      (参考)
      厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」
      https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/shigoto/guideline.html
  • 現在、公共交通機関を使用している場合は6ヵ月の定期代を支給していますが、今後テレワーク実施日数が増えた場合に通勤費は実費精算にしたいと考えています。注意点等あれば教えてください。
    • 6か月の通勤定期代と出社日数に応じた支払いを比較することが大事です。出社日数によっては通勤定期代の方が安価なこともあります。出社が見込まれる日数を基準として、定期代の支給基準を策定する等、新たな支給基準の検討が必要となります。
    • 交通費に関しては法的な縛りはなく、自由に設定できますので、労使でご検討をお願いします。
  • 育児などで中抜け時間が発生する場合、欠勤扱いとすべきでしょうか。
    • 必ず欠勤扱いになるというわけではありません。例えば、あらかじめ中抜けのルールを設定しておき、その日一日の労働時間を確保できれば、欠勤としないといった方法も可能です。テレワークとあわせて柔軟な働き方を検討してみてはいかがでしょうか。
    <中抜け運用例>
    • 深夜早朝を除き1日の労働時間を確保する形で運用する。
    • 時間単位の年休や、始業終業時刻の繰り上げ・繰り下げ等と併せて運用する。
    • その日の所定労働時間に満たなくとも、フレックスタイム制度の中で所定期間内労働時間を満たせば問題ない形で運用する。 等
  • 在宅勤務を実施するようになり、社員の不満や体調不良者が出てきてしまいました。どのように対処すればよいでしょうか。
    • 相談体制の構築やテレワーク従事社員のコミュニケーションの促進が有効です。
    • 下記サイトなどを参考にしながら、自社にあった対処方法を検討してみてください。
      (参考)
      厚生労働省「働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト」-テレワークでのメンタルヘルス対策について
      https://kokoro.mhlw.go.jp/telework/
  • 1日いくらという形でテレワーク手当を出す予定で検討中です。割増賃金の計算に含める必要があるのでしょうか。
    • 現時点では割増賃金の計算に含める必要があります。
    • 最近の報道ではテレワーク手当を割増賃金から除外する動きも出てきているため、今後の動向には留意が必要です。詳細に関しましては、最寄りの労働局にお問い合わせください。
      (参考)
      厚生労働省 東京労働局 総合労働相談コーナー
      https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/roudoukyoku/kanren_shisetsu/annai.html
コミュニケーション・評価
  • テレワーク実施時、社員間のちょっとした雑談や情報共有が難しいと感じています。円滑なコミュニケーションを取るためには、どのような方法がありますか?

    • テレワーク実施時において、円滑に情報共有を行うためには、下記のように、コミュニケーションルールを予め設定しておくことが有効です。
    • 〇定期的にミーティングを実施し、上司に業務進捗や懸念点を報告すること

      〇定期的に出社する日を決めておくこと

      〇会議の後の時間を雑談タイムに割り当てておくこと等

    • このように、円滑なコミュニケーションを行える場を構築することは、孤独感や不安感の解消にも有効です。
  • テレワーク実施時、業務の進め方等を上司や先輩等に相談したいと思っても、すぐに話しかける状態にないため、ひとりで悩んでしまう社員がいます。どのような対策が考えられますか?
    • テレワーク環境下において、周囲に気軽に相談したり指導を仰いだりするためには、下記のように気軽に情報交換できる環境を整えることが必要です。
    • 〇チャットサービスなどを使って情報交換ができる環境を整える

      〇ビデオ会議を常時起動させておき、いつでも気軽に声がけできる環境を用意しておく等

    • また、新入社員が業務に慣れるまではできるだけ出社するようにし、対面でのコミュニケーションを取りやすくすることも有効です。
  • テレワーク実施時に、コミュニケーションを促すどのようなツールがありますか?

セキュリティ
  • 情報セキュリティ規程はあるが、具体的な取り扱いを周知するために「情報セキュリティガイドライン」を作成したい。中小企業でも運用可能なガイドラインのひな形や注意点があれば教えてほしい。
    • 初めてのガイドラインであれば、独立行政法人情報処理推進機構の「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」を参考に、付録3の診断実施後、付録4のハンドブックを作成することをお勧めします。
      • ●「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン第3.1版」
      • https://www.ipa.go.jp/security/guide/sme/about.html
      • 付録3:5分でできる!情報セキュリティ自社診断
      • 付録4:情報セキュリティハンドブック(ひな形)
      • ただし所管が国交省、厚労省、金融庁の場合は各省庁のガイドラインも参照してください。
    • また、業務により個別のリスクがある場合は、次のステップとして「店舗編」「出張編」など実際の業務シーンに合わせたガイドラインの作成もご検討ください。その際は、社内用語や具体的な文書名を取り入れ、個人個人が判断できるような表現にしましょう。
  • グループウェアをクラウドサービスに移行したので、私物スマホ等の端末から閲覧できるようにしたい。注意すべき点があれば教えてほしい。
    • 私物端末を業務利用する場合は、個別のセキュリティ対策が必要です。特にグループウェア内に営業秘密や個人情報が含まれる場合は、端末の紛失による情報漏洩に備え、下記の対策が有効です。
      • 〇ログインパスワードポリシーを強化し、保存しない
      • 〇SecureBrowser等、端末にデータを残さないツールの導入
      • 〇MDM、MAMの導入
  • 全社で在宅勤務やモバイルワークを推奨しています。全員ノートPCですが、業務データをローカルディスクに保存することは認めていいのでしょうか。
    • 業務データの重要度に応じたルール策定が必要です。
    • OneDrive等クラウドサービスと同期されている領域についてもルールの対象とします。
    • PC持ち出し時に紛失・盗難リスクがあるため、HDDやファイルの暗号化を行い、万が一の場合はリモートワイプ可能なツールがあると安心です。
    • 特に重要データを扱う端末は、内部不正リスクも考慮し、操作ログの監視や外部媒体使用のロック等も検討してください。
  • 当社では自宅PCからリモートデスクトップで会社PCにつないで業務を行っています。自宅PCのセキュリティ対策について、社員に周知すべきことがあれば教えてください。
    • 自宅PCは私物端末となりますので、まずは基本的なOSパッチの最新化やウイルス対策を徹底してください。
    • 加えて家族等の誤操作を防止するため、専用アカウントの作成とクリアスクリーンが有効です。
    • また、自宅ルータで接続する場合は最新ファームウェア*への更新も重要です。
      *ファームウェアとは機器を制御するソフトウェアです。管理画面からご確認ください。
  • 全社の生産性向上のため、生成AIを使い始めました。主に議事録やメール作成に使用していますが、テレワーク時に生成AIを利用する場合に気をつけることがあれば教えてください。
    • ChatGPTに代表される生成AI利用の注意点は、以下の3点です。
      • 〇プロンプトから入力した情報はAIエンジンの学習用に蓄積され、再利用されます。
      • 〇すべての回答が正しいとは限りません。
      • 〇著作権等の侵害への注意が必要です。
    • 議事録やメール本文に記載する情報が営業秘密や機密情報に該当する場合は利用すべきではありません。また、人による最終チェックは必須となります。
    • 特にテレワーク時は、近くの上長などにすぐ相談できないため、自身が入力した情報をAIに記録させない「履歴OFF」設定*が有効です。
      *履歴OFF設定で漏洩リスクを最小化することができますが、生成AIのメリットである連続的な対話はできず、1回ごとの回答となります。
◆ テレワークに関するよくある質問と回答はこちら(日本テレワーク協会のウェブサイト)をご参照ください。 ◆

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