株式会社山岸製作所

2025/03/18

働く環境をアップデートした「EZスタイル」※で人生を豊かにする働き方をリード

※EZスタイルとは、山岸製作所の働き方を表す造語。自ら考え、仕事に取り組むことで、その人らしいイキイキと輝ける働き方を目指している。EZ(いいじー)とは石川の方言で「いいね」という意味。

会社概要・業務内容

社名:株式会社山岸製作所
ホームページURL:https://www.yamagishi-p.co.jp
所在地:石川県金沢市
従業員規模:24人
業種:卸売業・小売業
事業内容:インテリア家具の販売、オフィス家具の販売
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スモールスタートでテレワークを成功に導く

木造家具の需要低下を背景に、今までの製造業からの脱却と新事業展開へと舵を切るなか、平成29年に「コト売り」事業を強化するべく、自社オフィスのショールーム化を行いました。その際に、新しいオフィスの在り方として当時注目を集めていた「フリーアドレス」を導入し、それと同時に、スペースを捻出するため書類棚を減らす過程で、ペーパーレス化も実現しました。
その後、出張先の東京で「テレワーク・デイズ」のポスターを見たのをきっかけに、この流れを金沢(自社)にも作ろうと決意。まずは「一日だけテレワークをやってみよう」ということから始め、少しずつ日数を伸ばしていったところ、最初は戸惑っていた社員も徐々にテレワークに慣れていったように見えました。スモールスタートで進めたことが功を奏したのか、大きなトラブルもなくすんなりと受け入れられ、このときの「いける!」という手応えが、本格的なテレワーク導入に取り組む動機になりました。
まずは自社内にフリーアドレスを導入

各種ICTツールは先行事例を参考に選定

具体的な取組の内容としては、①モバイルPC・スマートフォン・ルーターの貸与、②フレックスタイム制度の導入、③クラウドサービスの導入、④セキュリティポリシーの確立の4つが挙げられます。あわせてテレワークでもコミュニケーション不足に陥らないよう、拠点間を超えて繋がることができる場所としてバーチャルオフィスを設置した他、月に1度はかならず上司と部下で1on1を行う、飲み会に補助金を出す社内制度を設けるなど、リアルなコミュニケーションを促す工夫も凝らしています。
またテレワークにあたって導入したWEB勤怠管理システムや、承認作業をネットワーク上で実現するクラウド型グループウェアは、すべて取引先である銀行に相談し、勧められたサービスを導入しています。ノウハウがないなかで最適なツールを選定するには、先行してテレワークを成功させている会社の真似をするのが一番だと考えました。

オフィスのコンサルティング事業を新たな軸に

テレワークによる成果としては、環境の変化に強いチームになれたというのがまず挙げられます。令和2年年のコロナ禍においても、緊急事態宣言が発令される前に在宅勤務へと切り替えることができました。新型コロナの5類移行を機に、在宅勤務から出社へと回帰する企業が増えていますが、当社では現在もテレワークの利用率が90%以上と、店舗スタッフ以外のすべてのメンバーがテレワークを実践しています。
また、テレワークの成果は売上にも表れています。当社のテレワークへの取組が注目を集めるなかで、周りから「いいじー」と言われることが増えていきました。「いいじー」とは石川県の方言で「いいね」という意味です。そこで我々の働き方を「EZ(いいじー)スタイル」と名付け、ホームページなどで発信していったところ、オフィスの環境整備についての問い合わせが増加し、オフィスコンサルティングという新規事業が生まれました。この事業が伸びたことで、今も右肩上がりの売上を達成できています。
自社オフィスをショールームとして活用

採用と育成に力を入れてさらなる飛躍を

「EZスタイル」の発信は採用活動にも良い影響を及ぼしており、多くの求職者に興味を持ってもらえるようになりました。ただ残念ながら、誤解されているケースもあるのが現状です。当社は「自由を尊重する会社」ではあるものの、決して「楽ができる会社」ではありません。自由に働くとは、言い換えれば自分で責任を背負って動くということですから、多大な労力を必要とする働き方です。これをいかにして伝え、そして理解してもらえる人から選ばれる会社になっていくのか、それが次の課題だと感じています。採用と育成は両輪のため、育成にも注力しています。自主性という名のもとに“ほったらかし”にならないよう、現在はメンター制度の構築、社会人マナーが学べる動画の作成など、テレワークでも人材育成ができるよう環境を整えているところです。

テレワークで社員の創造性と起業家精神を引き出す

今は変化が激しく、将来の予測が難しい時代です。この先も長く生き残る企業であるためには、社員の創造性と起業家精神が重要になってくるでしょう。そして社員から創造性と起業家精神を引き出すには、テレワークは必須条件です。人はそもそも自主的で、自由を与えられると責任のある行動をとるものです。問題はこの自主性を信じられるかどうかです。テレワークにおいての最重要課題は、制度でもシステムでもなく、会社のトップが社員の自主性を信じ、尊重することです。
中小企業ではよく見られる光景ですが、当社も例にもれず、野武士集団で個人商店的な側面があり、自主的な働き方ができるテレワークと非常に相性が良かったのだと思います。ですから土台となる信頼関係がすでに築かれているという意味では、じつは地方の中小企業のほうが、テレワークが普及しやすいのではと感じています。テレワークを通じて社員に自由に、のびのびと活躍してもらい、環境変化にも柔軟に対応できる強い組織を、地方からどんどん広げていきましょう。
テレワーク環境で自主的に働く社員の様子
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