コグニティ株式会社
2025/03/28
会社概要・業務内容
社名:コグニティ株式会社
ホームページURL:https://cognitee.com/
所在地:東京都品川区
従業員規模:100人
業種:情報通信業(ソフトウェア業)
事業内容:企業向けAI検定サービスの開発および提供
「第三者の視点」が欠落したテレワークに生じた評価の“ブレ“”と“偏り”
「技術の力で、思考バイアスなき社会を」を企業理念とする当社では、平成25年の創業時から従業員全員がテレワークで働ける環境を導入し、柔軟な働き方を推進しています。
かつてのテレワークは、限られた条件の中で厳しい自己管理ができる先進的なビジネスパーソンだけに許可された、ある種の“特権的”な意味合いの強い働き方でした。しかし、テクノロジーの進歩やコロナ禍での緊急事態宣言などの要因により、これまでテレワークを導入していなかった人々の間でも、“テレワーク≒権利”という風潮が強まるなど、ここ10年の間で状況は大きく変化しました。
また、リアルのオフィスでは、従業員の「見えない努力」が評価される機会、そして上司から直属の部下への贔屓に対する抑止力としての「第三者の視点」が機能していました。しかし、それらが介在しないテレワーク環境下では、評価の“ブレ”や“偏り”が生じやすくなることが悩みの種であり、当社でも、「360度評価」を実施するなどの対策を講じましたが、根本的な解決には至りませんでした。
本社オフィスのエントランス
ファクトとエビデンスをベースに「結果」と「アウトプット」に特化した評価制度
一連の課題を踏まえ、当社ではファクトとエビデンスをベースに、「結果」と「アウトプット」のみで評価する『COG STEP(コグステップ)』を策定し、令和2年から新たな制度として導入しました。
同制度では、直属の上司だけが知り得る従業員の「事実」(ファクト)だけを記入し、その「数」と「種類」(エビデンス)で点数を算出し、グレードを決定します。評価においては、MGS(マネジメントスキル)、CBL(行動指針となる『COG VALUE(コグバリュー)』)、CGL(マイナス要素/ボーダーライン)を掛け合わせた、計34項目をもとに半期ごとの振り返りを実施します。
評価に際しては、①各項目に対する達成・実施の有無を上司が記録した後、②自部署の課長・部長間で整合の確認を経て、③全社の課長クラス以上のマネージャー全員が集合し、全従業員の評価を一覧で点検することで、“甘い評価”が付かないよう、整合性の担保と公正な評価がなされる場を設けているのも大きな特徴です。
また、一方的な評価とならないよう、グレードや給与の変動が生じた際には従業員と1on1を実施し、フィードバックを行いながら納得感を深めています。
これらの施策は、テレワークにおいて、「情報を残すことこそが最も重要である」との考えに基づいています。ともすれば、“厳しいだけの評価”と対外的に見られてしまうかもしれませんが、 実際は、前職での経験年齢性別に捉われない “公平性”に根ざしていますので、社員からは、「基準が統一されたことで、以前よりも納得感を持って評価を受けられるようになった」「日々の業務の中での具体的な対応内容が評価に繋がり、上司により評価が大きくぶれることもなくなった」などの声が寄せられています。
評価の仕組みを体系化したCOG STEP(コグステップ)
エビデンス収集技術の向上が評価や採用にもたらす好循環
『COG STEP』の導入により、「社内コミュニケーションの定量化」にも取り組みました。具体的には、従業員が作成したテキスト(プレゼン資料や提出物)や音声(会議・商談や上司との面談)をキャプチャーや録音などにより「収集」「アーカイブ化」します。それを分析(AI検定サービス『COG-SALES』)にかけることで、「数値化」し、そこから、従業員の不足しているスキルや癖から、会話における“抜け・漏れ”まで、ポジティブ・ネガティブを含めた様々な「傾向」を残すことで、より精度の高い人事評価へと繋げることが可能となりました。
これらの手法は、当社のテレワークにおける採用でも応用されており、過去データの蓄積から当社で活躍する人材の傾向を特定し、候補者ごとの特徴を把握する(AI検定サービス『COG-ESSAY』)ことで、「離職率の低い」効率的な採用を実現。人事担当者の負担減、ミスマッチの防止において一定の効果を上げています。
社内で働く従業員の様子
テレワーク導入とツール開発で培ったノウハウや知見を地方に還元する
「コミュニケーションのデータプラットフォーム」を目指す当社では、令和3年頃までは上場企業との取引が中心でした。しかし、ここ数年は中小企業や地方企業へもフォーカスし、「東京標準の考え方に対する戦略の提供」や「事業承継における既存社員のポテンシャルの可視化」などの支援へシフトしつつあります。
現在、3つのサテライトオフィス(秋田、徳島、福岡)の設置や自治体(山口県萩市など)との連携を進めるなど、当社がテレワークとAI検定ツール開発で培った人事評価・人材活用の知見をもとに、さらなる地方支援を推し進めていく予定です。
自治体との連携を積極的に推し進めている。